雲に鳴く。

趣味の小説書き、雲鳴遊乃実のブログです。個人サークル『鳴草庵』

【感想】『先生とそのお布団』(石川博品)

以前、ライトノベル作家のアンソロジーの中で石川博品さんの作品をお見かけしたことがあり、ここでも記事を書いたことがある。 その流れで数年ぶりに書店のラノベコーナーに足を運び、この作品を見つけるに至った。以前読んだ作品と同じように、こちらもカク…

時をかける俺以外(カクヨム版)公開しました。

自作の同人小説『時をかける俺以外』について、下記のとおりカクヨムに転載いたしました。 ブーン系小説版とは設定含め諸々の要素が異なります。 また、書籍版とは概ね変更はありませんが、誤字脱字、表記の揺れ等を修正しております。 今回は前半のみの投稿…

【感想】もしもし、運命の人ですか。(穂村弘)

前の部署の傍には図書室があり、担当の方が時折新しい本を仕入れていた。 大抵は業務に関わる内容だったのだが、たまに流行の本が入荷されることもあった。 その中で、『本当はちがうんだ日記』というタイトルを見かけ、つられて手に取ってしまった。 それが…

【感想】7月のちいさなさよなら(石川博品)

昨年の末、『僕とキミの15センチ』(ファミ通文庫)という本を読んだ。これは15センチをテーマにしたアンソロジーで、参加者は基本的にライトノベルを発表している方々だった。 ライトノベルを読みたいと思いつつ、長く続くシリーズを読む気力がなかなか湧…

【感想】風に舞い上がるビニールシート(森絵都)

2017年の末に、その年に文芸雑誌に掲載された短編を寄せ集めたアンソロジーを読んだ。 テーマが特にあるわけでもなかったのに、そのうちの半数がミステリ風味なのが何だか気にくわなかったのだが、そんな中で一人、ミステリではない作品を書いていたのが森絵…

【感想】すべて真夜中の恋人たち(川上未映子)

これは大人の恋愛小説と、割り切ってしまうと、バイアスが掛かってしまうように想われる。 この物語の主人公は三〇代の後半に差し掛かる女性で、相手は五〇代と思われる初老の男性。客観的には大人同士。そういったものに興味があるかと言われると、どちらか…

【感想】映画篇(金城一紀)

大学四年の時間を持て余していた時期に、映画好きの後輩から『GO』という邦画を勧められた。 在日朝鮮人の主人公が社会と反発しつつ自分を見つめ直し突き進む映画で、触れがたいシリアスなテーマにも関わらず、視聴後の気分は爽快だった。 『GO』の原作者と…

アドヴァンシヴかつグローヴァルなネオ・ポスト・モダン・ソーシャルにおいてTRIZからファー・フロムなパスト・レガシー・コンテンツであるところの”漢文”なるものについて

最近漢詩が面白そうだと思って読み耽っていたのだが、漢文を学ぶことの無意味さを解くツイートが流れてきて、反論として漢文はこんなに大事だよ! とか、やっぱり意味ねーじゃねーかとか、いろいろな言論が飛び交っていたので、面白そうなので話題に乗って思…

【感想】音楽の海岸(村上龍)

村上龍といえば、僕はときどき作品を手に取るのだけど、いつも途中で読むのを止めてしまったり、読み終えてもうまく言葉がまとめられずに放置してしまう。 とはいえいつまでも何も書けないのもつまらないので、せっかく読み切ったことだし何かしら残してみる…

【感想】月曜日の友達(阿部共実)

舞台は中学校。主人公の水谷は、大人と子どもの境目で、周りの変化に焦りつつも目を背ける。何も考えずにいられた時を懐かしみ、今いる場所の窮屈さに嫌気が差して夜の街を走る。 学校でも姉 家でも姉。姉に似てないのがそんなに変なのか。 私は月曜日が嫌い…

自作ブーン系小説一覧

長編 さよなら、そしてまた会おう(全9話予定) 2018/11/10~ ( ^ω^)優しい衛兵と冷たい王女のようですζ(゚ー゚*ζ('A`)しりとりをするようですo川*゚ー゚)o(全10話) 2013/9/8~2013/12/14 ( ・∀・)探偵モララーは信じているようです (全10話) 2…

自作一般小説一覧

長編 疎遠の本懐 ……サークルクラッシャーの話。 ウィトルウィウスの夢物語 ……水車の見える街の話。 フウカのカタナ ……狐を斬る姉と対決する話。 時をかける俺以外 ……時をかける人に気づく男の話。 From AI to U ……アンドロイドの少女と絵描きの青年の話。 短…

執筆あれこれ

内省記事だよ。

ゼノギアス感想まとめ

昨年の9月から今年の2月にかけて、PSVITAで『ゼノギアス』をプレイしました。 クリア後につらつら感想をTwitterで垂れ流しましたので、ひとまずここにまとめておこうと思います。 ネタバレはありです。ご注意ください。

逼迫

時間が無い。 新年早々、ご挨拶もせずに何を言うかと思われるだろうが、時間がないのである。あけましておめでとうございます。 仕事に追われているわけではない。 趣味の活動に割く時間が足りていないのだ。 例えば読書量は、電車通勤から車通勤に切り替え…

2017年の執筆状況を総括する

2017年の執筆総括記事です。

新作『フウカのカタナ』が公開されました。

秋頃から唐突に交流させていただいている創作サークル「月と缶チューハイ」様のwebサイト上にて、拙作『フウカのカタナ』を掲載していただきました。 久しぶりとなる、オリジナルの三万字程度の物語です。 掲載ページ: http://moon-can-zhuhai.info/pages/w…

「対等」論考

時々対等な関係に憧れる。 今までは、自分が碌な人間関係を築けずにいた反動で、対等な人付き合いに憧憬しているのだと解釈していた。 ただ、いつまでも憧れてばかりでも変わり映えしないので、ここでひとつ、「対等」について考えてみたいと思う。

『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』松岡圭祐

もしも伊藤博文がイギリス留学中にシャーロック・ホームズと会っていたとしたら。 そもそもホームズは架空の人物なのだけど、わかっていても心惹かれた。それくらい求心力のあるタイトルだと思う。 幼い頃のホームズを助けた伊藤博文。ただならぬ縁を感じた…

優しい衛兵と冷たい王女のようです 第二十三話を投下しました。

( ^ω^)優しい衛兵と冷たい王女のようですζ(゚ー゚*ζ 第三部 - 1465560104 - したらば掲示板 スレッド内>>583-674が第二十三話にあたります。 優秀なる雇われ部隊(雪邂永訣編①) 第三部は五つの編から成り立っています。 前回までの冬月逍遙編①~⑦は、その…

ドラクエ11感想(ネタバレあり)

秋の初め頃にドラクエ11をクリアしてまして、そのときに伏せったーに感想を綴りました。 いつか記事にしようと思いつつ放置していたのですが、思い立ったのでここにまとめておきます。 記事用に整えたかったのですが、時間もないのでほぼそのまま貼りつけま…

【非感想】『漫画 君たちはどう生きるか』を読んで

漫画 君たちはどう生きるか ちょっと精神的にモヤモヤした気分に乗せられ、購入した。前々から気になってはいたものの、どうせ自己啓発の類いだろうと思って忌避していた。 自己啓発であることは疑いようがない。でも感得するところはあった。 特に興味を引…

第二十五回文学フリマ東京に参加します。

雲鳴遊乃実、出店します。 開催日:平成29年11月23日(木・祝) 11時入場開始 17時終了予定 ※僕は16時には撤収します 場所:東京流通センター 第二展示場 ブースは2階「ウー69」 サークル名は鳴草庵

『愛のむきだし』備忘録

あんまり入れ込んで書いても疲れるだけがしたので簡単な備忘録を残す。ネタバレはする。

『三日月転じて君を成す』について(後)

2017年ブーン系紅白の話 ※自作品のことしか話しません。感想を読みたい人は余所に行きましょう。 後半です。

『三日月転じて君を成す』について(前)

2017年ブーン系紅白の話 ※自作品のことしか話しません。感想を読みたい人は余所に行きましょう。 8月に行われたブーン系作品投下祭り「ブーン系紅白2017」にて、拙作『三日月転じて君を成す』を投下しました。そのことについて書いていきます。

批判について

好きな小説は何ですかと聞かれたときには割とすぐに答えられるけれど、嫌いなのはどうかと聞かれるとなかなか上手くは答えられない。 もしも質問主の好きな作品を否定してしまったらどうしようとか、そういう後ろめたさからくる感情ではなくて、嫌いな作家と…

コンセプトについて

初めて即売会に参加したとき、最も苦労したのは、自作の説明を求められたときだった。 そのときに頒布していたのは、ネットで公開していた作品のうち出来の良さそうなものを寄せ集めた短編集だった。なおさら、どんな作品かと聞かれて、一言で答えるのは難し…

『ネットは基本、クソメディア』(中川淳一郎/角川新書)

出張の合間に、直截なタイトルに釣られて買った。 黎明期のネットメディアからキュレーションサイト問題、昨今の情勢を踏まえた説明がなされていて、情報量も多く、実際の経験談も多数交えている。タイトルからもわかるとおりクソって言いまくっててなんだか…

プロットについて

物語の筋立てをお勉強する書物は数多くあるし、僕も一時期嵌まっていくらか仕入れたことはある。読めば読むほどのめり込むし、物語のトレーニング法と称して簡易なフローチャートを勧めてくるものもある。当然これもやってみた。百個くらい書いたが、パソコ…