雲に鳴く。

趣味の小説書き、雲鳴遊乃実のブログです。個人サークル『鳴草庵』

2019-01-01から1年間の記事一覧

【エッセイ】飴色と土気色

浅田次郎の小説を読んでいたときに、「飴色」という描写が連続して登場したことがあった。 飴色は知らなかったのだけど、読み飛ばすのも気が引けて、調べた。 僕の中で、艶っぽい茶色としか表現できなかった色が、あのときから飴色と呼べるようになった。 大…

【エッセイ】TRAIN-TRAIN

昔、予備校の倫理の授業をDVD受講していたとき、講師の人が突然THE BLUE HEARTSの話をし始めたことがあった。 話の流れは全く憶えていない。とにかく突然、何かに憑かれたようにして、TRAIN-TRAINがどれだけ素晴らしいかを語り出したのだ。 おそらく授業と直…

【エッセイ】街路樹

社会人になり、最初の赴任先は敷地内に緑が多かった。 「ここにいたら植物の名前を覚えるかもよ」などとの話を聞き、それは創作のネタになるなあ、などと内心喜んでいたのだが、実際の効果はどうだろう。 この幹は桜っぽいなとか、それくらいのことはさすが…

【エッセイ】雨と青空

何かの映画のオーディオコメンタリーで、雨のシーンで本物の雨に降られて迷惑だったと苦笑する場面があった。 作品の中に登場する雨は、そこには陰惨さとか悲壮感とか葛藤とか、あるいはもっと単純にそのとき雨だったことが布石・伏線になっていたりとか、と…

【エッセイ】包丁と飛び出し

たとえば包丁を使い終わって、シンクの傍に一旦放置する。 鍋をいじったりと別のことをしていると、包丁のことが気になってくる。 今足に落ちてきたら大変だよな、なんてことを考えて怖くなって、さっさと綺麗に拭いて片付ける。 そんなことを繰り返している…

【エッセイ】石柱

中国や台湾の神社は柱が石で出来ているらしい。ひとつの岩から意匠の全てを削り出すのが良いとされているらしく、同じ柱はひとつとしてないのだそうな。 西欧は石造り、日本のは木造、なんて区分けをなんとなく受験勉強中の国語の評論とかで刷り込まれてきた…

【エッセイ】新幹線

新幹線と聞いたときに僕が思い浮かべるのは、田畑を突っ切るようにして延びるコンクリート造りの高架だ。それは僕の地元の景観に由来する。 地元では新幹線の高架が東西に延びていた。 北と南に分断されていると捉えれば、市街地は北側だ。 僕が住んでいた南…