『悪文』
よくよくお世話になっている中村明さんの著作であり、前回紹介した『名文』の姉妹本です。とはいえ、内容は文章の技術に関するエッセイと捉えて良いと思う。
正直なところ、期待した内容とは違いました。『名文』の方は全体の半分以上が著作からの引用解説となっており、ブックガイドとして楽しめましたが、『悪文』は文章の書き方論に終始しています。悪文と名文は似ていると言っていた著者なのだから、あらゆる著作からの悪文を引用解説するのかなーとも思っていたのですが、そうはなりませんでしたね。
ただ、もちろん気をつけなきゃならないことはたくさん書いてありましたので、有用な本であることは確かです。問題は僕がこの手の本をすでにいくつか持っているということです。うーん。井上ひさしや高橋源一郎、スティーブン・キング、その他よくわからない海外作家のものまで、気がつけば結構集めていましたね。
文章読本一口に言いましたが内容はそれぞれ違いがあります。中村明や井上ひさしのは文章を書く上での注意点ですが、スティーブン・キングのは小説としての構造まで踏み込んでいましたし、高橋源一郎のはむしろ書く上での気構えの話になっていました。思い出せないだけでまだまだありますが、思い出せないのだから大した内容じゃないのでしょう。もしくは他の文章読本と同じような内容なのかと。