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雲に鳴く。

趣味の小説書き、雲鳴遊乃実のブログです。創作サークル綾月所属。個人サークル鳴草庵代表。

有頂天家族(森見登美彦)

感想

 

有頂天家族 (幻冬舎文庫)

有頂天家族 (幻冬舎文庫)

 

 忘れないうちに書いておく。

 

 八月半ばに京都へいったときに、せっかくだから京都っぽい小説を読もうと思い立って買いました。続巻の方はすでに読了済みで、本作は多分こんな内容なんだろうな、ってのを思い浮かべながら手がつけられずにいましたね。

 内容なんですが、四兄弟含めた家族のお話です。続巻から読むなんて変わったことしてたから気づかなかっただけで、そりゃそうだ、これは彼らのお話なんだ。赤玉先生とか弁天とか、強烈な人も狸も天狗もでてくるけれど、主人公である彼らがめいっぱい掘り下げられてて嬉しかったです。

 

「なぜ泣くんだろう。なにが哀しいというんだろう」

 私は呟いた。「綺麗な月を見たせいかな」

 次兄は降ってくる涙を見上げて言った。

「子どもというのは、わけもなく泣くものなのさ」

有頂天家族 第四章 金曜倶楽部 より)

 

  かっこつけているわけでもなく、文末にさらりと添える言葉がときおりとっても愛おしい。諧謔だったり情緒だったり切なさだったり、そうした諸々の面白みが混じり合ってくれている。狸らしく雑食になれということですかね。一人勝手に心得た。

 

洛中をうごうごする狸たちよ、一切の高望みを捨てよ。

(同 第七章 有頂天家族 より)