雲に鳴く。

趣味の小説書き、雲鳴遊乃実のブログです。個人サークル『鳴草庵』

まほろ駅前番外地

発売日 : 2009-10

 『まほろ駅前多田便利軒』を読んだのがもう一年半くらい前だったと思います。主人公二人がそれぞれ過去に縛られながら、互いの距離感をはかりつつ、種々雑多な事件に巻き込まれる内容。主人公たちの凸凹な雰囲気が面白かった思い出です。

 今回読んだ『まほろ駅前番外地』はその続編。このシリーズは三巻まであるんだそうですね。知らなかったです。

 『番外地』は、前回に登場した人物たちがほとんどそのまま出てきます。新しい事件を持ち込んでくる人もいれば、サポートとして出てきたり。そんな様子を追っているうちに、一年半も前に読んだ前作の記憶が蘇ってくる。何気ない話だったにも関わらず、だいたいこんな話しだったかなと思い出せるのは、それだけオリジナリティのある小話だったことの証なのだと思います。

 どの話も、教訓話じゃないんです。多田便利軒や、それに関わる人の行いのせいで傷つく人もいます。根本的に解決していない場合も多いです。というのも一話がだいたいハードカバー本で50ページ。短いです。この中で出来るのは、依頼を受けて、仕事をする。そのほかの仕事外の出来事をちらほら書く。成長したり反省したりする余地はありません。出来事が起きること、何かの考えが過ぎること。そんなことたちを楽しんだり、胸に秘めたりするのが、一番性に合う読み方でした。

 三作目ももうでているので気になるところですが、映画化しているそうですね。一作目も映画で、二作目だけがテレビ東京でのドラマだったとか。気づかなかった! ドラマ離れの著しい昨今ですが、余裕が出来たら見たいです。