2016年の読書遍歴を総括する(後半)&今年のお薦め10冊
それでは後半行ってみましょう。
2016年の読書遍歴(後半)
7月
明治大学の読書感想文向けに『となり町戦争』(三崎亜紀/集英社)を読む。だが感想文を書くには至らず。それなりに面白かったけど、意欲は湧かなかった。
『私の消滅』(中村文則/文藝春秋)を衝動買いしたり、積ん読だった『カメレオン狂のための戦争学習帳』(丸岡大介/講談社)を読み終えたりと充実。後者は戦争を題材とする意味では『となり町戦争』よりは大分好きでした。
ライトノベルにも手を出してみようと思って『灰と幻想のグリムがル(1)』(十文字青/オーバーラップ)。それなりだったが、そうか、気づいたら五ヶ月続きに手を出さずに経ってしまったか。
8月
『ブラックライダー』(東山彰良/新潮社)を読む。ディストピアだ、救世主と大殺戮! もう大好きです。『流』のときから気にしていたが、ここまで面白い方だとは!
エッセイとして『不思議な羅針盤』(梨木香歩/新潮社)。『家守綺譚』が面白かったから手に取った感じです。人柄もまたいい。自分で考えて行動する人で、想像よりずっと逞しい人だった。好感。いつか「つゆり」の名前を自作で使おうと思い立つ。12月に無事、創作サークル綾月のショートSSで使いましたとさ。
なんとなく京都に行った影響で『有頂天家族』(森見登美彦/幻冬舎)を購入、さっそく読了。狸には狸の世界があった。
9月
『君の名は。』砲をもろに食らい、関連本を買い漁る。ビジュアルガイドとか解説本とかインタビュー記事、LINEライブなんかも見る。なんだか現代に追いついた感じだ。『君の名は。アナザーサイド』は10月には買えたのだけど、ちょっと時間が取れないまま積ん読になってしまった。
湊かなえを克服しようと思って『往復書簡』(湊かなえ/幻冬舎)と『高校入試』(湊かなえ/KADOKAWA)を読む。前者のラストで「おおー!」となり、後者のラストではっ倒したくなった、なのでイーブン。苦手なままでいいかなって思い始める。
月末に『そのときは彼によろしく』(市川拓司/小学館)を読みました。良い本だった。思ったよりずっと良かった。市川拓司さんは自分のホームページに公開していた小説が見初められてデビューを果たした、ネット発の小説家のはしりみたいな人です。いや良かった。
10月
積ん読消化の一環で『嗤う伊右衛門』(京極夏彦/角川書店)を消化。今なら京極夏彦いけるかも、と思って書店へ赴き、『魍魎の匣』の厚さにびびって帰る。来年は読む。
半ば、『我もまたアルカディアにあり』(江波光則/早川書房)との遭遇を果たす。衝撃を受ける。一気読みはもちろん、余韻がしばらく引かなかった。振り返ってみても、今年最高の読書体験でした。
漫画では『辺獄のシュヴェスタ』(竹良実/小学館)が印象に残っています。容赦ないのがいいですね。清々しくて。
11月
『車輪の下』(ヘルマン・ヘッセ/岩波書店)を読む。二年前に購入したのを憶えているが、途中で止めていたらしい。何が良かったんだろうな、としんみり思ってみたりする。
のってきたので『夜と霧』(ヴィクトール・E・フランクル/みすず書房)に取りかかる。何年か前にNHKで特集を見た。人間の話。心理学といえども綴られているのは実体験。言葉が重い。
月末に『夜行』(森見登美彦/小学館)を読む。ホラーだった。ホラーです。おもしろがらせるのとこわがらせるのは表裏一体、なんてことを考えながら読み終えて結局怖がるのでした。
12月
漫画、『波よ聞いてくれ』(沙村広明/講談社)を衝動買いする。ラジオが聴きたい! 話すことの勢いに浮かされ、もっと頑張ろうと思う。
『空白の叫び』(貫井徳郎/小学館)を読み終わる。思ったのだけど、貫井徳郎の本は何も学ぶところはない。でも面白い。純粋な面白さだけを追いかけたらこんな作家になるんじゃないかと思う。僕は好きです。しばらく好きだと思います。
月末がせまり、『学問』(山田詠美/新潮社)を読む。『車輪の下』で興奮する女の子が出てきてびっくりする。学問ってそういう意味か、決めつけていいのか、わからん。止めておこう。
最後に、京都で買った積ん読本『いつか王子駅で』(堀江敏幸/新潮文庫)を読了。日常と読書経験は両立しうるのだ。優しい本だ。今年読む本はここまでだな、と決める。
今年のお薦め10冊
簡単に書籍名と著者名、そしてリンクを貼りますね。
10位 『ゴースト・ボーイ』
9位 『走ることについて考えるときに僕の考えること』
8位 『そのときは彼によろしく』
7位 『カメレオン狂のための戦争学習帳』
6位 『百瀬、こっちを向いて。』
5位 『ブラック・ライダー』
4位 『いつか王子駅で』
3位 『紫苑物語』
2位 『家守綺譚』
1位 『我もまたアルカディアにあり』
以上、読書関係の総括でした。
来年もまた面白い本を読みたいです。