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雲に鳴く。

趣味の小説書き、雲鳴遊乃実のブログです。創作サークル綾月所属。個人サークル鳴草庵代表。

『小僧の神様・城の崎にて』

著者 : 志賀直哉
新潮社
発売日 : 2005-04

 年末に借りてあったのを昨日読み終わりました。志賀直哉。うちのどこかに全集のうちの一巻があった気がする。

 『城の崎にて』は高校の教科書に載っていたかな。あらためて読み返してみると短いページ数の中にぎゅっとお話が詰まっていた。文庫サイズでたったの十二ページ。その中に蜂と鼠とイモリそれぞれの死の淵が描かれている。教科書に載っていたので全文だったんだなあ。

 もちろん『城の崎にて』もよかったが、同じ趣向の『十一月三日午後の事』も良かった。むしろ後者の方が好きになった。厭世的な『城の崎にて』とは違って、『十一月三日午後の事』はもっと人間臭さを感じた。思い通りにならずむしゃくしゃする展開もまた好感触だった。

 そのほか、短編集にあった中だと『流行感冒』と『雨蛙』がお気に入り。どちらも人の内面のわかりにくさを扱っているが、優しさのある終わり方をする。どの作品にも優しさは感じられたのだけれども、個人的には特にこの二つの作品を推す。それだけ馴染みのあるテーマだったということです。

 

 何日か前に買った『名文』の中にも志賀直哉の『山鳩』が掲載されていたのだけど、この本を借りたのはそれよりも前でした。『山鳩』は未収録。引っかかりもなく読み通せるとわかったので、いずれ読んでみたいです。

 ところで志賀直哉は「白樺」のメンバーです。「白樺」ときくと武者小路実篤を筆頭に人道主義的な傾向を思い浮かべるのですが、どうも志賀直哉自身は「白樺」の傾向に不満を感じていたそうですね。どのような不満があって、志賀直哉の作品と他の「白樺」の作品はどう違うのか気になってまいりました。国語便覧でも引っ張り出しましょうか。

 手元には里見弴の短編集があります。