雲に鳴く。

趣味の小説書き、雲鳴遊乃実のブログです。個人サークル『鳴草庵』

鉄血のオルフェンズ 鉄血編(4話~6話) 感想文

 CGS編に引き続き鉄血のオルフェンズの感想文。

 その前に簡単な振り返りをしますと、こう。

1話 クーデリアの護衛を任されたCGS三番隊がギャラルホルン火星支部の中隊を相手取る。

2話 バルバトスが初戦闘を終え、ギャラルホルン側が撤退。逃げ出した一軍がCGSに戻って威張り散らす。

3話 オルガたちがCGSの乗っ取りに成功。クランクが決闘を申し入れ、三日月が受けてたち、勝利。CGS改め鉄華団と命名される。

 

 それでは焦点を緩く絞りつつ書いていきます。

 

三日月とクーデリアについて

 4話の冒頭は三日月がアキヒロとトレーニングするシーンから始まります。

 仕事があるのは当たり前、というアキヒロに対して微笑む三日月。その脳裏には、自らの戦いに臨むと決意したクーデリアが浮かんでいます。このときに差し込まれるシーンは、三日月の戦闘見ていたときのものですので、三日月は知り得ないはずですが、視聴者にわかりやすくするために選んだんだと思います。

 戦闘のあとにオルガに向かってした決意表明はちゃんと見ていたのでクーデリアの決意そのものについては承知している。この時点で三日月は少しクーデリアを多少受け入れて見ようかなと思い始めている。

 だから、食事のときに気疲れした様子のクーデリアに、桜ちゃんの農園へ来てみないかと声をかけたわけですね。

 

 クーデリアが疲れた様子だったのは、パトロンであるノブリスの資金援助を要請した際に言われた言葉が原因です。少年兵の屍の上に立つのかと。

 クーデリアが地球に行くまでの間に多数の犠牲が生じる。戦う決意はしたものの、死を想像すると怖じ気づいてしまう。

 ただ、「弱い人間ですね」という自己評価が付け足されています。

 三日月と初めて会ったとき、無意識に対等な扱いをしないでいることを突かれて握手を拒否されました。三日月としては言葉の上だけで少年兵の悲惨さを説くクーデリアの態度に嫌気がさしたんですね。クーデリアはこのことを恥じて、その日の夜まで手のひらを見つめてぼーっとしてしまいました。

 戦闘を見たいまとなってはもっと三日月たちの実情に迫りたい。だけど実際には怖じ気づいてしまう自分がいる。「弱い人間ですね」という言葉は、そんな自分が嫌になっての呟きなんだと思います。

 

 さて、農園へ行って、桜ちゃんの畑の収穫を手伝います。クーデリアはトウモロコシを引き抜こうとして転びかけ、そこを三日月に助けられる。このとき手を繋いだのが、奇しくも握手のような形となった。ずっと拒否されていた握手がここで偶然にもできたわけで、クーデリアはそのことに息を呑んでいるようです。

 そのまま感謝の言葉も続けようとして、「ありが」まで言いますが、風に遮られてしまう。これ、なんとなくだけどクランクのときと似ているなと思いました。クランクもまた「ありが」まで言ったところで銃弾を撃ち込まれてしまいますよね。感謝の言葉を、三日月は基本他人から受け取ろうとしないんです。最初の防衛が終わったあとにクーデリアが謝ろうとするのを怒鳴って制したのも同じです。

 だけど、今回はまたちょっと違う。風が止み、火星の実情を述べたあと、護衛を依頼した件で「ありがとう」と、三日月の方から言うんです。これは三日月の中でクーデリアを仲間と思い始めていることの証なんだと思います。印象的で、とてもいいシーンでした。

 ちなみにここはアトラが鉄華団に搭乗することを決めた場面でもありますね。三日月が取られると思ったようで、それで5話に入って宇宙に出ることを決心するのがなんともはや。

 

 5話の前半では、独りで夜警している三日月に気づいてクーデリアが隣に座るシーンもあります。クーデリアさんは不安になるとすぐ眠れなくなるみたい。

「地球に行けば、月って見れるかな」

I love youを「月が綺麗ですね」と訳すという夏目漱石の有名なお話がありますが、ここでクーデリアが真逆に月のことそのものを話しているのが、なんだか却って面白い。気にしすぎかもしれないけれど。

 そして次の場面では早速アトラが現れて鉄華団に入ります。オルガもにやけているし公然の事実なんですかね。あと遠くでシノがだいぶゲスいこと言っているような気がする。

 

 火星を経つ場面でクーデリアが「行ってきます」と呟くわけですが、そのとき差し込まれる大人たちはみんな悪そうな顔をしている。この段階ではまだまだ碌な大人がいない世界です。出発して10秒でギャラルホルンから奇襲を受けますしね。優しいのは火星に残って子どもたちのおもりをするであろう会計係のデクスターさんくらいなのでは。犬死にしそうな顔してるけど。

 

 6話のラジオを聴いて、三日月がアトラを面倒くさがっているシーンがあると聞いたので今回確認してみました。6話前半でアトラが食事中の三日月に話しかけるシーンです。確かに、「怖くないの」と聞くアトラに対して三日月が一瞬固まり、それからブレスレットを示して「大丈夫」と言います。でも、面倒くさがっているというのはアトラの質問に対してみたいですね。死ぬのが怖くないのと言われて、散々死にそうな目に遭ってきた三日月にとっては、いちいち応えるの面倒だなあという感じかと。アトラのことそのものをめんどくさがっていたらアトラが乗り込んできたときもっと嫌そうな顔をするんじゃないかなと思うんです。

 ちなみに食事が終わってアトラと歩いているときに、クーデリアと通路で会って、「どうして会議に参加しなかったんですか」と聞かれ、ちらっとアトラを見ます。ここ、なんだったのかなあ。アトラを気遣ったのかな。

 

 クーデリアの目的を聞いたとき、三日月はクーデリアに質問をします。

「じゃあんたが俺らを幸せにしてくれるの」

 それに対してクーデリアは「そのつもり」と応えます。このとき、三日月の頬がちらっと緩んでますね。俺らって、要するに仲間たち全体のことをさしていて、それに答えてくれたから嬉しいんでしょうね。

 

ギャラルホルンについて

 見始めたばかりの頃はギャラルホルンの中でも支部と監査官がごっちゃになってしまっていました。火星支部のコーラルがクーデリア暗殺の痕跡を隠しているのを監査官が見破っていく展開であり、事情をわかった上で見ていたら結構面白かったです。

 監査官のマクギリスとガエリオがはっきり表舞台に出たのは4話ですね。桜ちゃんの農園で接触し、ガエリオが首を絞められ、チョコレートで和解する、ざっくりするとそんな感じ。ちなみにマクギリスに9歳の許嫁がいることもまた4話で語られています。

 マクギリスは知識豊富で厄災戦のことにも詳しいようで、そのあたりの説明役として出てくる度に何かしら教えてくれます。便利。1話では、大きすぎる力は手放せないとの台詞とともに起動前のバルバトスのカットが差し込まれるという意味深なカットもありました。

 ちなみにギャラルホルン北欧神話で世界の終末の戦いを告げる角笛の名前、バルバトスは言わずもがな、悪魔です。なんで自らそんなろくでもない名前名乗るんだろうと思わないでもないです。

 5話では、奇襲してきたギャラルホルンに対して三日月たちが戦闘に臨む。

 アインはここに至るまでずっとクランクの形見を握って葛藤していたのですが、クランクのグレイズを使われたことに気づいて怒りをあらわにします。クランクが殺すまいとしていた子どもに対して、はっきり敵意が芽生えたのはこの瞬間でしょうね。

 鉄華団が戦場を切り抜けて戦闘が終わり、鉄華団の情報を売っていたトドが送られてきます。最初見たときは、なんでトドさん生きたまま送るんだろうなーと思ったのですが、鉄華団としてはギャラルホルンと火星が仲違いしているとまではわかっていなかったんですね。だから、ひとまずオルクス商会を通じて出発の援助はしてもらったわけですし、用が済んだので返してあげた、ていうところです。迂闊とまでは言えません。トドだってギャラルホルンがオルクスと通じていると知らなかったみたいです。トド、また出てくるんでしょうかね。良い具合に生き残った気がします。

 ギャラルホルンはトドから情報を得てクーデリアが鉄華団に乗っていることを知る。追いかけっこの始まりです。

 ところでこの戦闘をタービンズが監視していて、6話の最後へと繋がるわけですが、彼らはどうして見ていたんですかね。7話で言っていたかな。

 

 ギャラルホルンとの戦闘は終わり、マクギリスたちもコーラルの後処理で仕事に追われ、しばらくは待ちの姿勢でいる様子。しかしフミタンがギャラルホルンの通信網アリアドネを活用したりします。こんなことするのでフミタンがますます疑われるんですよね。でもなんか、ブラフな気もするんだ。でなきゃ、ビスケットと打ち合わせをするためにフミタンに司令室を任せたオルガは迂闊なような、あ、でも本当に信用しているならフミタンに何も言わずにビスケットを司令室に呼ぶのかも・・・・・・

 

そのほか、鉄華団の人々について

アキヒロ

 身寄りのない流れ者、ヒューマンデブリである彼は、4話でオルガによってCGSの社長マルバの所有物であるという契約を破棄されます。つまり人権を獲得しました。「どういう意味かわかっているのか」とオルガに訊くのは、自由にしたら仲間を抜けるかもしれないって意味でしょう。それにも関わらずオルガはアキヒロにマルバの所有していた戦艦ウィル・オ・ウィスプの引き継ぎ手続きを任せます。険しい表情だったけど、ただの事務手続きに気合い入れているあたり、だいぶ嬉しいんでしょうね。

 アキヒロがオルガを信じたからこそ、5話の戦闘の終わりに共同宇宙港から駆けつけます。時間通りってオルガが言っていたし、トドが裏切ることはアキヒロが出発する前から折込み済みだったのでしょう。それにしたって、トドが裏切っていなかったらアキヒロは置いて行かれていたわけですし、戻ってきたことからはアキヒロの、オルガについて行くっていう覚悟が見て取れます。筋トレし続けていることや女に興味ないことばかりが注目されているような気もするけどどんどん強くなってもらいたいです。

 

ユージン

 たびたびオルガの決定に意見を出しているユージン。基本的にオルガのやり方に意見を出すのはビスケットかユージンですね。

 そんな彼が目立ったのはやっぱり5話の戦闘で、ユージンがモビルワーカーで宇宙に繰り出したから戦場を切り抜ける作戦が成功します。元々はオルガが請け負おうとするのに反発して自ら作戦の担い手を買って出たものです。その後ユージンは回収されたようですが、よく死ななかったなあ。

 見返すと、こんなに突っ張ってたかなとも思ったのですが、九話での印象が強すぎて忘れていたみたいです。

 

オルガとビスケット

 団長と参謀、っていう二人ですが、無茶をするオルガの心配をするビスケットっていう関係でもあります。6話でオルガが三日月について話しているシーンはかなり重要でした。

「なんでそんなに前に進むことに拘るんだ」

「見られてるからだ。振り返るとそこにいつもあいつの目があるんだ。~中略~そのミカの目が俺に訊いてくるんだ。オルガ、次はどうする。次は何をやればいい。次はどんなわくわくすることを見せてくれるんだ、ってな。あの目は裏切れねえ。あの目に映る俺はいつだって最高に粋がって、かっこいいオルガ・イツカでなきゃいけないんだ」

 ビスケットはオルガの過去を知らないみたいですが、今後オルガが無茶をしたことで困難に出くわしたときに支えになるのは彼であってほしいなあ。

 

おわりに

 6話までのお話が公式で配信されたので、それに合わせて感想文を載せました。7話以降のお話は、また機会があったり、この記事が読まれたりしたら、感想を書こうかな。今までこういうのはあまり続いたことが無いんですけどね。