雲に鳴く。

趣味の小説書き、雲鳴遊乃実のブログです。個人サークル『鳴草庵』

「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」展

 国立新美術館で開かれている「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」展に先日ふらっと足を運んだところ、予想以上に楽しめた。展覧会は8月31日まで開かれているので、まだぎりぎり8月である今のうちに紹介しておこうと思う。

 

 「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」展はその名の通りマンガ、アニメ、ゲームといったサブカルチャーのみに焦点を絞った展覧会だ。取り上げる作品はすべて1989年以降のもの、つまりマンガの先駆者であった手塚治虫のいなくなった後の世代のものである。このような区切りを設けたのは、教科書的に取り上げられるようなサブカルチャーの始まりから進み、文化としての発展段階に目を向けていこうとしたからだろう。『テヅカ・イズ・デッド』という本がそういえばあったね。読んだことはないのだけど、同じ方向を目指しているのかもしれない。

 

 

 展覧会に入ってまず紹介されるのがアニメーション年表。とにかく情報量が多く、掲載されていない作品を思い出す方が至難だった。1989年以降にアニメを見ていた人ならば誰だって反応したくなるだろう。たいていの人はここで足が止まり、思い出の数だけ指が動く。その後は、ある程度流行したアニメが、放映されていた時間だとかファン層だとかをまるで気にすることなくパネル展示される。ジャンルわけを無視した構成ということで、広がり方の多様性を感じさせてくれた。

 その後はうろ覚えながら、アニメ、ゲーム、そしてマンガのひとつひとつに焦点を絞っていた。流行した作品をひたすら紹介していくようにも思えたが、発展の途中で生まれたチャレンジや発想、努力が概観できるのは、たとえ詳しくない事柄だとしても見ていて面白かった。

 そしてここでもやはり、情報が多い。アニメやゲームはまだじっくり見れたのだが(とはいえさすがにエヴァンゲリオン全24話を並行して流しているのにはついていけなかったが)、マンガのブースは本当に手に負えない。多すぎる。僕は二時間ほど滞在したのだけど、マンガだけは申し訳ないがある程度読み飛ばしてしまった。

 楽しかった原因を考えてみるに、僕が1989年以降のサブカルチャーにたっぷり影響されていたからだと思う。たとえ深入りしているつもりでなくとも、必ずどこかでマンガかアニメかゲームには触れていたし、見ていなくても耳にしたり、話に聞くことはあった。だから、眺めているだけで思い起こされる記憶もあって、自分が成長している間にサブカルチャーがどのように変わり、世間に影響を与えていたのかがわかる。ある意味最も身近な比較文化論だったのだろう。

 展覧会の最後を飾っていたのは、手塚治虫原作の映画『メトロポリス』だ。手塚治虫以降と銘打った展覧会ではあったものの、当時のアニメの総括としての作品だとして紹介されており、今後のアニメの発展を物語る上での重大な指標となる作品だと説明が付されていた。