雲に鳴く。

趣味の小説書き、雲鳴遊乃実のブログです。個人サークル『鳴草庵』

5月14日頃の日記

 眠気の勢いが弱まってきたために今日も書いてみようとする。

  5月13日の朝方、山田詠美さんの『A2Z』を読み終えた。AからZの26の英単語の入った小話で綴られていく物語。

 山田詠美さんについては『僕は勉強ができない』の一文がセンター試験に取り上げられていたことで有名なんじゃないだろうか。僕もそこで名前を知ったのだが、同作を読んだのはつい最近のことだ。それがとても面白かったものだから、しっかり名前を覚えて別の作品も読んでみようと思った次第である。

 『A2Z』には大人の恋愛が描かれている。登場人物が大人ばかりで、お互いのパートナーのことをドライに見ている。愛することに理想を抱いているのは夫の彼女である20歳そこそこの人くらいだ。『僕は勉強ができない』でもそうだったけど、山田詠美さんは真っ当な人を表に出さない。それなのに文章が健全だ。ユーモアもある。なのに後ろ暗い。そのアンバランスさがとてもいい。

 気に行ったところをひとつ引用する。

 講談社文庫p208より

(前略)私が誰のところでもなく、今日子の家を選んだのは、彼女が、女同士の安い友情とは無縁だからだ。同情して泣かれたりして、私が慰める破目になったりしたら、最悪だ。そして、一緒に泣くことを友情と勘違いした女たちが、どれ程多いことか。問題を抱えた時に、本当に助けてくれるのは、うまい飯、上等な酒、乾いた笑いに、辛辣な助言。それらを提供してくれる綺麗な女だ。私の使っているのと同じ銘柄のシャンプーがバスルームに常備されていれば、なお良い。

 

 5月14日の夜、帰宅途中に僕の脇を白いバンが通り過ぎた。大型の車で、路地の出口で止まると脇を通るのも憚られたため、僕も立ち止まって何の気なしに観察していた。やがてバンの両側の扉が前後共に開き、アジア系の方々がぞろぞろと出てきた。全部で六人は入っていたようだ。彼女たちは早口に異国の言葉を漏らしながあ熟女パブの看板の提げられたビルへと吸い込まれていった。バンもすぐに去り、後には僕だけが残された。入ったことも無いのに中の人を見ることができたのは、少し運が良かったのかもしれない。

 

 Skypeの新しいアカウントを使った。前のアカウントが大学時代から継続して使っていたものであり、本名であることが煩わしいと思ったからだ。

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