雲に鳴く。

趣味の小説書き、雲鳴遊乃実のブログです。個人サークル『鳴草庵』

名古屋観光(一日目)

 こんにちは、副島湯呑です。

 8月17日(日)、18日(月)を利用して名古屋を散策してきました。一人旅です。

 行くと決めたのは先月末のこと。

 社の方から夏休みを使うように散々言われていたのですが、僕みたいなコミュ障には気軽に遊べるような友達はいませんので休暇の有効な使い道がわからず、どうしたものかと悩んだ末に軽い旅に出ることを思いつきました。

 なんで名古屋なのかは直感です。東海地方には静岡しか行ったことが無かったし、名古屋のことも詳しくは知らなかったので、ガイドブックを買ってせこせこ調べていきました。

 使ったガイドブックは昭文社の『tab!tte』です。車を使わない旅を想定したガイドブックです。運転が頗る苦手な僕には打ってつけでしたね。


tabitte 名古屋 (国内|観光・旅行ガイドブック/ガイド)tabitte 名古屋 (国内|観光・旅行ガイドブック/ガイド)
(2014/07/07)
不明

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 スマホと連携しての使い道もあったのですが、すっかり忘れていましたな。今みたらなかなか使い勝手よさそうな。また別の機会があれば使ってみたい。

 出発は地元の新幹線から。僕は埼玉の片田舎の人なので、スーツケース片手で東京へ出るなら新幹線のが楽なのです。

 東京へ着いたのが朝の7時頃。

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 試し撮りして、気づいたことは、僕のコンデジはとても安物だということ。この写真を取る前に何度か失敗をしているし、液晶の質も低いのでぶれているかどうかもパソコンで見ないと判然としない。英語表記で妥協しているのはそんな理由なのです。

 新幹線の所要時間はだいたい二時間弱でした。当日は曇り空で、雨も降るんじゃないかという気候。富士山なんざ見えやしません。ひたすら小説を執筆しておりました。

 執筆道具を一応は持ってきたのですが、結局旅行中に書いたのはこのときだけです。まだプロットもはっきりできていない状態なので、あまり書き進めても良くないのです。

 名古屋駅に到着。なかなかの広さがあったけど、入り組んでいないので、東京のと比べるとかなり歩きやすい駅です。

 スーツケースをコインロッカーに入れて、出発。

 最初の目的地である熱田神宮へ向かうため、中央本線で金山へ。最初から市営地下鉄に乗っても良かったのですが、こちらのが速いですし、まだ来たばかりで地下鉄の場所がわからなかったのでJR線を利用しました。

 金山駅で地下鉄に乗り換え、その前に買うものが一つ。

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 ドニチエコきっぷ名古屋市交通局が発行している、市営地下鉄と市バスで繰り返し使える切符です。土日祝日、お盆期間に買うことができます。

 一日目はとにかくこの切符に助けられました。いちいち切符を買う手間が省けたので嬉しかったですね。

 地下鉄名城線に乗る。名城線名古屋市内を環状に巡っていて、丁度東京の山手線のよう。右回り左回りの言い方はわかりやすいですね。

 神宮西駅より下車。熱田神宮の敷地はすぐそばです。青々とした木々が垣根の向こう側に聳え並んでおりました。

 枝が垣根の外にも大きく伸びていて、歩道の上に木陰が作られ、夏の暑さを和らげていました。歩くのにも心地よかった。いい散歩道ですな。

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 垣根の合間に見つけたのが下知我麻神社。旅行安全の神様です。一礼。そして神宮入口へ。

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 最初に回ったのは宝物館。写真は不可でしたので口で説明すると、日本書紀をはじめとする歴史的資料、祭具、愛知所縁の戦国武将の脇差などがずらりと展示されておりました。織田家徳川家と縁のある愛知、教科書でしか歴史をしらない僕みたいな人でも気づくことは多かったです。中も思ったより広く、静かな室内で工芸の粋を観察することができました。

 深い緑の木々の合間を抜け、一旦神宮の外へ。お昼のためです。

 神宮の南に『あつた蓬莱軒』というお店があります。ひつまぶしのお店で、どんなガイドブックにもかならず乗っている有名店なのだとか。

 口コミを見るとまさに観光客を吊るためのお店だなどと書かれていましたが、ひつまぶしは食べてみたかったので、値段の高さに目を瞑りつつ入店することにしました。

 普段は11時半からの開店ですが、夏場は開店時間を早め、11時から開いております。開店の30分前に行きましたが既に折り返しができる程度の並び具合。それでも開店時間の10分後くらいには食べることができました。お店が始まってから訪れると「○時頃に空くので来てください」教えてもらえるみたいです。なので、開店してからやってきて、時間を教わったら神宮を回り、時間が来たら入店する、というのが一番効率のいい訪れ方かと。

ひつまぶし

 あつた蓬莱軒神宮南門店で食べました。

 お店から推奨される食べ方は次の通り。櫃の中の御飯を四等分にし、一区画ずつお椀によそり、別々の食べ方をする。最初はそのまま。次はねぎ・のり・わさびの薬味を載せて。その次は薬味のあとにだし汁を入れてお茶漬け風。そして最後はお好みの食べ方。

 率直に言って四食分なので、ものすごく腹が膨れました。毎日お昼を乾板一枚で過ごしている胃袋には堪える。

 食べ終わったら神宮内をぶらぶら散歩し、境内まで行きました。

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 この道のさきに大きな鳥居がありました。参拝客たちがみんな、入るときも出るときも社へ向けて頭を下げておりました。

 お賽銭を入れて、また一礼。

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 境内では刀剣研磨技術の奉納の様子です。7月には鍛錬技術の奉納があったとか。多くの戦国武将も訪ねた熱田神宮。刀剣は欠かせない存在なようですね。

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 たっぷり散策したら、名城線に乗って市役所前駅へ向かいます。目指すはもちろん、名古屋城

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 市役所前の地下鉄出口の様子。趣がありますなあ。

 大きな石垣の合間を抜けて、お城の敷地内へと入ります。

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 道中にある加藤清正の石曳像。石垣用の石の運搬を上に乗って指揮しているわけです。楽しそう。

 門を潜りますね。20140817_12.jpg

 家紋入りの提灯が並ぶ中を歩み、塀の中へ。石垣がちらりと顔を覗かせているね。

 こうしてお城の土台にまで来たわけですが、まず先に入ったのが名古屋城の本殿です。

 大戦時、天守閣も本丸御殿も焼失してしまった名古屋城天守閣は戦後から復興再建が進み、今ある姿に建て直されたわけですが、本丸御殿の建て直しは平成になってから始まり、今なお続いております。順調に進めば2030年に全体の再建が完了する予定。2014年の今は玄関部分を含めた一部が公開されています。

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 焼失前に重要文化財に指定された障壁画たち。平成4年より、職人さんたちの手により当時の技術を研究したミクロ単位での復元が試みられている。鮮やかな金色の色合いの美しさは溜息が出るほどで、とてもじゃないけどこの安物のコンデジでは表現しきれませんね。

 天守閣内部は全体的に名古屋城の歴史、関連物の展示となっています。博物館みたい。

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 しゃちほこがお出迎え。でかい。

 3階では江戸時代の街並みが再現されている。

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 これが本屋で、

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 こちらが武器屋。

 4階では武器や防具など、名古屋城内での収蔵品が並べられている。

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 長い長い火縄銃。スコープはないので、目が良くなければ使えません。

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 真っ黒い鎧。

 ひとしきり堪能したら外へ出た。

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 小天守閣との渡り廊下で見上げてみた。緑青のついた銅板葺の屋根が幾重も連なる。お城ですなあ。

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 石垣を別の角度から。板の説明文には石垣を大名たちが運んだことが記されています。大名たちはそれぞれの石にマークをつけて、他の大名の石と間違えたり、石を積み重ねたという手柄を横取りされないようにしたのだとか。

 この日は奇しくも宵祭りの日。祭りの準備が着々と進められておりました。

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 お昼からでも普通にビールが売っていた。

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 この出店で買った唐揚げが絶妙に美味しかった! 甘い手羽先用のタレと肉厚の鶏肉が食欲をそそる。それが五つも刺さっているのだから贅沢な唐揚げ棒です。いつかまた食べてみたいと思える一品でした。

 お城から離れたら、今度はのんびり白壁・主税(ちから)・橦木(しゅもく【なぜか変換できない】)方面を散策しました。かつての武家屋敷が並んでいた地域、「文化のみち」と名付けられ、保存地区にも指定されている高級住宅地です。

 おや、あれは

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 住民と目で挨拶を交わしました。

 辿り着いたのは文化のみち橦木館。大正末から昭和にかけて建てられた、陶磁器商人井本為三郎のお屋敷を改装しております。

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洋風の館と和風の館が渡り廊下で結ばれているのです。

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 この部屋に外国人のバイヤーを集め、商談をしていたそうな。ステンドグラスの向こう側には観葉植物が並べられていたらしいです。

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 この地域の特産でもあった陶磁器たち。

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ブレと圧縮のせいでさっぱり読めなくなりましたが、幸福を呼ぶティーカップと書かれていました。

 和風の館の方では陶磁器がずらり。名鉄の模型やテーマ別の写真集などもおかれていました。係りの市役所職員さんが寝ていたような気がしましたが、まあ、わかりませんなあ。

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 少し歩いたところには文化のみち二葉館がありました。こちらは日本初の女優、川上貞奴の旧邸です。

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 中は広いリビング。いたるところにステンドグラスがあって、部屋を明るく照らしている。

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 こちらはドイツ人画家ミューラーによる貞奴の印象的な人物画です。

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 貞奴の夫の名は福沢桃介。電力王と呼ばれた男です。ここ貞奴邸にもいたるところに配線が組み込まれ、夜になっても煌々と窓から光が漏れていたそうな。この写真は館をめぐる配線の集積点、配電盤の様子です。

 二葉館の二階では文化人の企画展が行われていました。この日はテラオハルミ展。手のひらサイズの絵本や原色を大胆に組み込んだ工作物が並べられていました。

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 また、普段より地元作家・名古屋と所縁のある作家たちの資料館としても機能しています。

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 こちらは城山三郎の仕事場を再現した区画です。東京裁判を描いた『落日燃ゆ』や高度経済成長下を舞台とした『官僚たちの夏』など、激動の昭和時代を力強く書き続けた人です。

 ところで、張られていた作家名鑑を眺めていたところ清水義範と清水良典の名前を見つけました。清水義範が名古屋生まれです。清水良典は奈良生まれで名古屋の大学にて教鞭をとり、今は名古屋に在住しています。いつかブログで書いたように、僕はこの二人が別人だと最近知ったばかりなのですが、ここまでくると面白くもありますね。

 さすがに歩き疲れたので喫茶店を探しました。ガイドブックに載っていたのは純喫茶ボンボンというお店。

 確かこの辺のはずだけど……

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 最初に手前のボンボンに注目し、空いてないから「あれ?」と思ったところ、奥にもう一つの「ボンボン」を発見。駐車場があるところをみると、奥の方で正しかったみたいです。よく見たら手前のは「ローヤル」とついていますね。なんとまあ、空いていたらすっかり間違えるところでした。

 そこで頼んだのはこちら。コーヒーはカフェモカ。ケーキの方は忘れた。マロンなんとか。

ボンボン

 おいしかった。ここに限らず名古屋にはいたるところに純喫茶があります。三十分はくつろぎましたな。

 このあと向かいに見えた本屋さんにより、欲しかった中原中也の詩集と本田孝好の『MEMORY』を購入。

 東方端(ひがしかたは)から市バスに乗って名古屋駅へ向かいました。スーツケースを取るためです。

 そのままご飯を食べに外へ、と思ったところ、雨が降ってしまいました。やむなく駅ビルでご飯を探す。しかしどこも行列でした。いやはや、これはさすがに失敗した。

 実はひつまぶしとケーキの影響でまだ空腹は耐えられそうな気がしました。

が、せっかくの名古屋めしを食べる機会を逃すのもなあ、と逡巡。

結局『山本屋総本店』で味噌煮込みうどんをいただくことに。

味噌煮込みうどん

 煮込まれたばかりのうどんは熱々で、まだ少し沸騰しているようでした。味付けも濃い。お腹はあっという間に膨れてしまった。

 外に出たのは六時過ぎ。雨が止み、夕焼けも西の空の彼方。暗くなる前にと急いでホテルへ向かいました。

 僕が宿泊したのは『名古屋クラウンホテル』というところ。僕は名古屋駅から15分くらい歩いていきましたが、最寄りの伏見駅からは5分なようです。温泉付きで朝食付き。僕はあまり旅慣れてはいないのですが、ところどころの設備が古びているのに目を瞑って、これで5000円ならば十分良いのはないでしょうか。

  部屋についてくつろいで、少年Hをぼんやり見ながら明日の計画を見直し。今日の反省を踏まえて付け足したり削ったり。ボディバッグの中身をいくつかスーツケースに移したりとかしました。執筆用のポメラとかiPodとか、歩きながらは要らないなあと。

 そして就寝。二日目へ続く。