雲に鳴く。

趣味の小説書き、雲鳴遊乃実のブログです。個人サークル『鳴草庵』

『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』松岡圭祐

もしも伊藤博文がイギリス留学中にシャーロック・ホームズと会っていたとしたら。

そもそもホームズは架空の人物なのだけど、わかっていても心惹かれた。それくらい求心力のあるタイトルだと思う。

 

幼い頃のホームズを助けた伊藤博文。ただならぬ縁を感じた二人だが、二度目にイギリスに訪問した際は、イギリス大使館を焼き討ちしたことを呈示され、確執が生まれる。しかし後に、『最期の事件』のあとに行方不明となったホームズは、密航者として海を渡り、日本へと辿りつく。彼を出迎えた伊藤はホームズを快く迎え入れる。かつて自分たちの留学を支援してくれたイギリスへの恩返しなのだという。

この時点で、伊藤の心が広すぎてちょっと鼻についたのだけど、耐えられないほどでもない。ひとまずは素直に読み進めた。

 

日本ではちょうど、大津事件、ロシアの皇太子を攘夷思想を継いだ警官が斬りつけた事件が起きていた。この事件が怪しいと睨んだホームズは真相を見つけるべく奔走し、やがてさらに大きな事件へと足を踏み入れることとなる。

 

作中度々、兄弟間の対立が現われる。兄マイクロフトへの猜疑を強めていたホームズしかり、事件の真相にもとある兄弟が絡んでくることになる。たとえ信頼している兄弟でも、歪んでしまうことはある。

 

疑うことは、対等であることと同義なのだろう。何でも信じてしまうならば、いずれは足下を掬われる。

このテーマは伊藤周辺の権謀術数にも通ずるものがある。対等な関係になるべく奔走している当時の日本の姿は、嘘や欺瞞を見抜かなければならないという点において、探偵と相違ないのであった。

シャーロック・ホームズ対伊藤博文 (講談社文庫)

 

優しい衛兵と冷たい王女のようです 第二十三話を投下しました。

( ^ω^)優しい衛兵と冷たい王女のようですζ(゚ー゚*ζ 第三部 - 1465560104 - したらば掲示板

スレッド内>>583-674が第二十三話にあたります。

優秀なる雇われ部隊(雪邂永訣編①)

第三部は五つの編から成り立っています。

前回までの冬月逍遙編①~⑦は、その最初の一編。西部に位置するメティス国での逍遙、及び内乱に焦点を当てています。

 

雪邂永訣編は第二編、①~⑥までを予定しています。

以下、備忘録。

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